死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

『ザ・レジェンド・オブ・パイレーツ』(2014)  



『ザ・レジェンド・オブ・パイレーツ』(スーパードラマTV) (allcinema)

内容

舞台は1729年のバハマ諸島。数々の伝説を残した悪名高き海賊〝黒ひげ"として、その名をとどろかせてきた実在の人物エドワード・ティーチの生涯を描くアクション・アドベンチャー大作。
既に死んだと思われていたエドワードの存命を知ったイギリス領ジャマイカ総督のウィリアムは、エドワードの命を狙うべく暗殺者トム・ロウを派遣、トムはエドワードがリーダーとして君臨する泥棒や無法者といったならず者たちが集まる孤島にたどり着き……。(公式より)


感想

『クロスボーンズ/黒ひげの野望』としてスターチゃンネルでやっていたものの転用(?)のようです。
・どっちのタイトルが相応しいかというと、うーん・・・
『クロスボーンズ/ザ・レジェンド・オブ・パイレーツ』ならば、ベストかなと。(笑)
・"CROSSBONES"というシンプルな原題が表現しているかっこ良さと、しかし語られているのは黒ひげの"野望"というよりも、黒ひげが自ら作り出した"伝説"とそれに夢を見てそして引き継ぐ人たちの物語だからです。

・凄く面白かったけど、どう説明したらいいのか。
・「海賊」ものということで、デップ"カリビアン"シリーズのようなファンキーな娯楽作品か、もしくは血とエロスの最近(特にスターチャンネル系で?)割りと多い気がする妙に作りのしっかりした露悪的なリアリズム作品のどっちかかなと思いましたが、どちらも違いました。
・...正確には後者は当たってはいるんですが、それに"どとまらない"作品という。
・暴力的で、策謀渦巻く苛烈で残酷な作品ではあるんですが、しかし最終的には全てが和解と理解に向かう、その動きも同時に存在する。
・それは情緒的に楽観的前向きというよりも、知的に"辛抱強い"という感じなんですけどね。
・甘い観測や希望は持たないけど、解ける誤解は解くし、出来る和解はする。その上で、目指せる理想は目指す。
・"リアリズム"はリアリズムなんだけど、「底」に落ちて行くリアリズムではなくて、「その場」にとどまるリアリズムというか。

・中心となるのは、主人公であるイギリス軍スパイ(よろず特殊工作員)"トム・ロウ"
Tom Lowe

と、その調査・暗殺対象である海賊"黒ひげ"
Edward Teach

・...年取ってもう"黒"くはないんですけど(笑)、タイマンの無類の強さと頭の冴えに衰えは無し。
・話を複雑にしているのは、一つはトム・ロウが汚れ仕事も厭わないやり手の工作員であると同時に医者でもあって、しかも当時の最先端医療の研鑽を怠らない優秀な医者でかつ"医者"としては医療倫理に忠実に従おうとする一面酷く真面目な性格であることと。
・もう一つは黒ひげが敵にも部下にも過酷な評判通りの恐ろしい海賊船長であると同時に、大英帝国を筆頭とする当時の"合法"社会の苛烈な身分制、貴族による庶民の搾取・収奪システムに対して割りと本気で反旗を翻し、その支配の及ばないカリブ海のさる島に法の下に平等な別世界、理想社会を築こうとしている、そういう隠れた目的を持っている人物であることがあります。
・最終的に明らかになるのは、トム・ロウの"工作員"としての職務に関する容赦の無さは、「大英帝国」への言わば武士道的な"忠義"に基づく本質的にはモラリスティックなものであったということで。
・黒ひげの理想社会により大きな「モラル」を見出したトムは、職業的な義理立てを最低限残しつつも、島側黒ひげ側につくことを選択します。
"寝返った"けれど"変わって"はいないという。
・だから黒ひげが暴走して島を危険に曝した時は、ついこの間までスパイであったトムは"島"への忠義の立場から黒ひげを告発し、黒ひげ自身が定めた法と正義に基づいて黒ひげから権力を奪おうとします。
・更に面白いのはそのトムを黒ひげの部下たちや島の住民が支持することで、全くもって、ドラマが始まった時にはまるっきり予想のつかない展開でした。

・こういう内容なので、見ようと思えば「民主主義」「法」「正義」「平等」の話だと見て見られないことはないわけなんですが。
・どうでしょう。
・実際に見ている時の感触としては、むしろ"黒ひげとトム・ロウ"を筆頭とする、トムをめぐる様々な対立や誤解や、あるいは実際に誤解ではない(笑)トムが任務として抱いている島への脅威が。
・一つ一つ解きほぐされ、解決され、昇華されて行く、その様に目を見張らされる唸らされる、そういうドラマという感じ。
・その根底にあるのが、トムのどんな汚れ仕事や立場の困難にも挫かれない、ある種由来不明の道徳的"パッション"と、残虐でエゴイスティックではありつつもしかし同時に(民主的)理想を追求し、かつ"スパイ"トム・ロウを信じているわけではないのだけれど是々非々で利用しながら最終的に友情を築いた知的な忍耐力、このどちらが欠けてもこの話は成り立たなかったと思います。
・ただの権力闘争のメロドラマや露悪のピカレスクロマンに、いかにも落ちそうで落ちなかった、その"渡る"と期待してもいなかった"綱"を渡り切ったドラマとしての筋力の強さやバランス感覚の名人芸に、びっくりさせられた作品でした。

・原作は小説

なので、その設定や人物描写の複雑さもさもあらんという感じではありますが。
・ただではこの二人の人物が、例外的"英雄"として描かれていたのか、それとも来たる新時代の民主主義的理想を先触れ的に体現する人物として象徴的に描かれていたのか、そこらへんはちょっとよく分からないんですよね。
・原作はもっと理念的で、ドラマ化に際して"描写"重視にしたのか、それとも原作の小説的複雑さをそのままではドラマ化出来ないので、もっと分かり易く"理想社会"の話にしたのか。
・どちらかかなあと思うんですが。
・僕としてはともかく、とても密度の濃い、知的な緊張感に溢れた"人間ドラマ"として、楽しんだ感じですが。
・"理想社会"云々は、一種の舞台装置で。

・トムの駆使する"最新医療"のあれこれや、あるいはストーリーの発端&鍵として出て来る最新型羅針盤(のようなもの)や最新型爆雷といった、技術的ディテールも面白かったです。
・ここら辺を見ると、基本的には結構"知的"というか、"新時代"自体をテーマとした作品なんだろうな元々というのは、窺える感じはしますが。
・全9話。一応最後に若干無理やり"クリフハンガー"的シーンも挿入されてはいましたが、どうやらシーズン1で終わりのよう。
・それでいいよもう。ほんと余計だああいうシーン。
・日本の漫画の毎週"引き"で終わる週刊連載方式だって、"シーズン"そのものはちゃんと終わらせて、次の展開はその時改めて考えてますからね。
・ほんと直して欲しい、そこは。アメドラ。

一応"黒ひげ"Wiki。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E9%AB%AD
まあ史実かどうかは、全くどうでもいいですけどね。(笑)


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Posted on 2017/07/20 Thu. 21:32 [edit]

category: 2010-2014年のドラマ(アメリカ)

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