死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

"隠れ"過ぎた傑作 ~『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』(2015)  




シーズン3の話をしたばかりですが、既に打ち切られていたことが判明。(笑)


デヴィッド・ドゥカヴニー主演『アクエリアス』、シーズン2で打ち切りへ(クランクイン!)

米NBC局で2015年から放送が始まり、シーズン1の途中でシーズン2の制作が決定したが、TV Lineによると2シーズン共に視聴率には悩まされたとのこと。


海外ドラマ 「アクエリアス 刑事サム・ホディアック」 シーズン2で打ち切り!(MOVIE レビュー)

クリエイターのジョン・マクナマナラは1シーズンで半年を描き、最終的に6シーズンを構想しているとインタビューで語っていたが、願いはかなわなかった。


前者を読むと成り行きでシーズン2まで延びた(でも3までは延び損なった)ように聞こえますが、後者だと長期計画が頓挫したという風に。
僕の感じとしてはそもそも1シーズン完結が相当のストーリーだったのが、意外と調子良く2シーズンまで進んで、それなら3シーズン目と調子に乗ろうとしたけどそれはやり過ぎでかえって中途半端で終わってしまったという、そういう印象ですが。(笑)

その場合後者の「構想」は、シーズン2が決定したあたりで希望に胸膨らませたインタビューだったのかな?(笑)
ただメインストーリーないしクライマックスが「シャロン・テート殺害事件」なのは明らかで、既にシーズン"2"でも随分引っ張るなあという感覚はあって結局そこまでたどり着かずにクリフハンガーは随分無理やりに思えたので、もし本当に「6シーズン」構想が存在していたとすれば、それは例えばシーズン2で力を入れて描写された"ブラックパンサー"のようなこの時代を彩る周辺の諸事象を、更に盛りだくさんに盛り込むとか、そういう形かなあと思いますが。

ただやっぱり、話の"密度"感やスケール感としては、"駆け抜ける"方が相応しい作品だったと思いますけどね。
・・・つまり1,2シーズンなら何とか疲れるずに見られるかなという、濃厚さでありましたし、一方で6シーズンを持たせるような構造の堅固さは無かった、その場その場の勢いで作っている感じの作品だったということ。
「実話」に縛られているという事情もありますし、そうそう器用に延ばしたり出来るものかね。

まあ確か事件が起きてから、それがマンソン一派の犯行だと判明するまでには、結構紆余曲折があったんですよね。奇行で有名だったシャロンの夫ロマン・ポランスキーが、疑われたり何だり。
そこらへんで、タイム感をもたせるつもりだったのかな?

と、色々と製作形態にはすっきりしないところのある作品ですが・・・(笑)



『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』(スーパードラマTV) (Wiki)

内容

「Age of Aquarius(水瓶座の時代)」と呼ばれたアメリカの“ニューエイジ”1960~1970年代。
舞台は1967年のロサンゼルス。市警察の刑事サム・ホディアックを主人公に、後に女優のシャロン・テートをはじめとする罪のない人々を無差別に惨殺したことで世界を震え上がらせたマンソン・ファミリーの台頭やブラックパンサー党による黒人解放闘争など、実際に起きた事件を架空のキャラクターを交えながら描く話題作である。(公式)


感想

・言うかどうかは分からないですけど、"傑作"と言ってあげたい作品。(笑)
・ストーリーは4人の人物を中心に展開します。
 1.チャールズ・マンソン
 2.サム・ホディアック
 3.サムの部下の刑事ブライアン・シェイフ
 4.同じくサムの部下の婦人警官シャーメイン・タリー
・4人それぞれに何らか"時代"を背負っていて、それを描くことによって時代の全体的イメージを浮かび上がらそうというのが、基本的な企画なんだと思いますが。
・まず簡単なところでシャーメインが背負っているのは、勿論(警察内部の)"女性差別"ですね。
・「撤廃」「解放」の機運自体はようやく芽生えているかなくらいの時代感で、抗議するくらいの自由はあるようですが、実質的には誰もまともに、断固として取り合わない、そういう雰囲気に支配されている警察内部。
・その中でシャーメインは日常的に屈辱を受けながらも、めげずにそのシステム内での自分の価値の証明に努力を続けていて。
・実際彼女は有能であり勇敢であり、かつ根性が据わっていて忍耐も惜しまず、しかしそういう彼女でもどうしても何をしても突破出来ない差別の"壁"。
・彼女がこれ以上は出来ないという程努力しているだけにひときわその"苛酷"さは重く感じられ、なるほどこれはもう、制度ごと社会ごとどうにかしないとどうにもならないなと、何というか"納得"出来る描写になっていると思います。
・次にブライアンですが、彼が体現したのは・・・"人種対立"ですかね、白人と黒人の。
・彼がというよりも"シェイフ夫妻"がというべきでしょうが。
・白人の夫と黒人の妻の夫婦なわけですが、しかし彼ら夫婦が"対立"したのは明らかに「時代」のせい、妻が黒人の権利運動にのめり込んでいったせいであり、そもそも結婚したくらいですからブライアンが黒人である妻に対して"差別"的だったわけではない。
・"差別"があるとすれば、そう妻が感じたとすれば、ブライアンが警察の激務もあって往々にして自分の仕事第一で、妻の方の仕事や活動を軽視するような態度を取った(と妻に感じさせた)、そちらの方ですかね。
・これもまあ、見た限りでは妻の独り相撲感は強いんですが、とにかくどちらかに悪意があるわけでも普通の基準で夫婦の行き違いが致命的なレベルだったわけでもないのに半ば強引に二人が引き裂かれる、妻が夫を捨てるに至る様は、むごいと言えばむごいし、それだけ「時代」の問題、人種の問題が待ったなしだったのだとも言えるし。
・個人的にはどうしても、ブライアンがほとんど一方的な被害者のように見えてしまうんですが。(笑)
・何勝手に暴発してるんだろう、この奥さんという。

・次主役級で、チャールズ・マンソン
・これが意外なキャラクターで、最初はある意味視聴者の期待通りの、支配欲の化け物のカルト教祖でしかなかったんですが。
・その内その自分のグループの支配・運営とは全く別次元での、"ミュージシャン"としての妙にで熱い、成功の夢を追ういち青年の姿を見せるようになって。
・更には単に"ミュージション"としての成功というよりも、"音楽"そのものの純粋性へのうぶと言ってもいいような情熱まで見え隠れするようになって。
・僕なんかはまあ、すっかり同情してしまいましたよ。(笑)
・その勢いで言ってしまいましょう、彼が体現していたのは、ズバリ「自由」です。自由とその渇望。カルト云々はあんまり関係ない。
・というか、要は単なる"ヒッピー"ムーブメント、コミューンの一つとして、マンソン・ファミリーを位置づけようと、そういう意図すらあった気がします。シーズン3以降が製作されれば、もっと明らかになったのかも知れませんが。
・とにかく製作者がマンソンを嫌いでなかったのは、確かでしょうね。(笑)
・そしてもう一方の主人公、サム・ホディアック。こっちはなかなか難解で。
・偏屈で毒舌で、違法ぎりぎりの捜査も躊躇わずにやる"ダーティヒーロー"。
・...という類型から更にはみ出す(笑)相当に嫌味でアクの強い人物で、マンソン、ホディアックと飛び切り暑苦しいのが並び立つ序盤で、脱落した視聴者が多数いてもいかにも不思議ではない、そういう感じ。(笑)
・しかしそんなホディアックがブライアンに信頼され、シャーメインに信頼され、ブラックパンサーの首領にも、しまいにはマンソンにすら"信頼"らしきものを寄せられる、モテモテぶり。
・彼自身はあからさまに「旧世代」の人間で、十分に男根主義者で、「若者」にも「女性」にも、「黒人」にも増して「ヒッピー」にも、殊更理解がある風なことは決して言わないわけですが。
・しかしそういう「立場」や時代の「流行」とは離れたところにある、彼個人の核の中に存在する、彼なりのフェアネスや慈悲心、独断的ではあるけれど必ずしも身勝手ではない正義感と責任感、こうしたものが、彼と"ぶつかった"人たちの心を動かし、信頼の源となったのだろうと思います。
・分かり難いですけどね。ほんと、分かり難い。(笑)
・そんな彼が担ったものは・・・「良識」?おお。
・まあでもそうだと思います。言葉はともかく。
・"時代"を描いたこの作品の中で、ある種「超時代」的な何かを体現していた、そういう人物なのではないかなと。
・分かり難いですけど。(笑)
・シーズン3以降、マンソンファミリーの彼による"総括"の中で、そのことも明らかになったのではないかなとか。


・と、やはり「未完成」感も残しつつではありますが、しかしあの時代("アクエリアス"の時代)を描く、体感させるという目的は、十分に果たしている十分に成功している、そういう作品だろうと思います。
・そういう意味での心残りは、僕自身は特にありません。
・上の4人をめぐってに限らないですが、とにかく一つ一つの描写の描きこみ方、ディテールの真摯さは、ちょっとなかなか無い類のものだと思います。
・"真に迫ってる"というより、"全部本気"という感じ。多分特殊な才能の手になる作品。
・その分少し息苦しいところはあって、見易いとは言い難い。所謂芸術的な"難解"さというよりも、物量的な感じですが。(笑)
・プラス上で言った「シリーズ」としての分かり難さで、二重に少し視聴者を遠ざけているところがあるかも。
・"隠れた傑作"の、更にもう一段(笑)"隠れた"傑作、ないし傑作になったかもしれない作品。(笑)
・気晴らしには向かないので、余裕のある時にどうぞ。(笑)


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Posted on 2017/09/07 Thu. 11:57 [edit]

category: 2015-2019年のドラマ(アメリカ)

thread: 海外ドラマ(欧米) - janre: テレビ・ラジオ

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