死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

アメドラの奥深さの再確認 ~『STAR 夢の代償』(2016)  

シーズン2以降もあるのかもしれないですけど・・・

どうも打ち切りの臭いが濃いめに漂って来るので、もうレビューしちゃいます。
「12話で終わり」というのが、単なる視聴率不振なのかそれとも「大事に作っている」ということなのかという、問題ですね。(笑)

STAR 夢の代償


『STAR 夢の代償』(FOX) (allcinema)

内容

絶対の歌唱力と自信を武器に、メジャーデビューを夢見る若き少女スター。不遇な生い立ちを経て離れ離れになった最愛の妹シモーネと、インスタグラムで互いを励まし合う刺激的なライバル、アレクサンドラと共にユニット活動を始めることとなった彼女たちが、華やかな音楽業界のスターダムを駆け抜けるべく、底辺のスタートから成長していく姿を描く。(公式より)



感想
・一瞬ぴんと来ませんが、"スター"というのは一般名詞ではなくて人の名前で、タイトルに入ってる"STAR"もどちらかというとそっちの意味の方が強いだろうと思います。ダブルミーニング気味ではあるんでしょうが。
・そう思っておかないと、ドラマ中の"スター"の強烈な性格を受け止め難い(笑)かなと。「主人公」なんですね、彼女は、3人の内の1人ではなくて。
・...一応言っておくと、真ん中の金髪がスターで、向かって左の少しラテンぽい(でも)黒人がシモーネ、右の純正(?)黒人がアレクサンドラです。


『STAR』というドラマ

・驚きましたね、こんな作り方があったか、まだこんな新しいタイプの"傑作"が出て来る余地があったかと。
・もう何十回目かですが、アメドラという"枠"の奥深さ面白さを、再確認しました記事タイトルにある通り。
・なかなかこの多様性多面性は、イギリスも含めた他の国のドラマでは見られない。
・さすが移民の国というのと、もう一つは苛烈なコマーシャリズムによる流動性・ダイナミズムが、その原動力なんでしょうが。
・どのアプローチも、走り出したらとにかく行きつくところまで行く、それによるスタイルのクリアさと、もう一つは"走る"過程で出て来るある種の「無意識」の力というか。
・強烈な意識性と強烈な無意識性。
・他の国ではまず作り出せない、"場"の力。
・ちなみに"多様性"だけだったら実はそれに次ぐのは日本なのかも知れませんが、いかんせん基本学芸会ですから、比較対象外。

・具体的にこの作品がどのように出来上がっているかというと大きく二つ。
・一つは公式にも謳われている、「全米地上波No.1ドラマ『Empire』のリー・ダニエルズが手掛ける、新たな本格派音楽ドラマ!」の部分。
・もう一つは、これは僕が言っているだけですが、それを構成している演技・演出の、どういったらいいんでしょう、アメリカン・ニューシネマ的というか「アクターズ・スタジオ」的というか、独特のリアルで内向的でザラついた感触の部分。
・この二つがどういう関係にあるかというと実はほとんど真逆で。
・前者は"ザ・ショービズ"というか、しばしばミュージカル的な、ドラマの"一部"という以上に独立したけれんみたっぷりの歌唱&ダンスシーンがばんばん放り込まれる構成といい、「白・茶・黒」というあからさまと言えばあからさまな"色"分けの女の子のキャラ設定といい。
・コマーシャリズムでない"ふり"は、全くしていない。(笑)
・それは同じ製作者によるヒット作『Empire 成功の代償』の、コッテコテのメロドラマスタイル(僕は1話でギブアップしました(笑))を見ても明らかで、基本的には二匹目のどじょうを、「青春ドラマ」という枠に移して狙った作品なんだろうと思います。
・対して『STAR』の演技・演出のスタイルはむしろ反コマーシャリズムで、細かいことは分かりませんまさか今更ニューシネマでもないでしょうが、しかし何らかそんなような志や素養を持った演出家("監督"クレジットが沢山あるのでよく分からない)が、"売れ線"作品の看板に隠れて(笑)ひっそり自由に、余りアメドラでも見たことのないタイプのアプローチを完遂している、そういう印象でした。
・恐らくは余り描かれない「黒人社会の内側を黒人の視点で描く」という、(『Empire』とも共通した)そういう意味での大枠の"リアリズム"には合致しているので、許されているのかなという感じ。
・"リー・ダニエルズ"は「監督」クレジットには入っていますがあくまでプロデューサーで、芸術的な細かいことにはタッチしない、良くも悪くも大雑把な人なのかなというのが、"2作"を並べてみての感想。(参考・"Empire"の監督陣。"STAR"と違うのだけは分かります)

・というわけで「傑作」とは言いましたが、余り統一的な意図が完璧に達成された、そういうタイプの作品ではないのではないかと。
・むしろミスマッチが変に機能した、偶然的作品というか。
・ただしその前提には、"それぞれ"の部分の突き抜けたハイクオリティ、手腕の確かさというものがあって。
・まずほとんどがオリジナルらしい、がいい。彼女たち自身が歌ってるらしい、がいい。
・ジャンルとしては要するにコマーシャルなR&Bで、本来全く僕の趣味ではないんですけど、ドラマ自体への思い入れもあって、毎度聴き惚れます。"ミュージカル"的な挿入のされ方のわざとらしさも、実際には全く気になりません。
・そしてドラマ部門の、演技の吸引力も、後述する"スター"というキャラクターの力もあって、申し分ありません。
・大人が本気で見られる青春ドラマというか。
・この二つに込められているのは基本的に別の技能だとは思うんですが・・・どうなんですかね。
・上では「偶然」と言いましたが、やはり何らか"統一的な意図"は、働いているのか。
・具体的に言うと、"プロデュース"と狭義の"演出"との間に、誰かのもう一つ別のレベルのまとめる"意図"が入っているのかなと、そういう感じもします。
・「社長orオーナー」と「監督」との間に、もう一人「GM」がいるみたいな、プロスポーツで言えば。(笑)
・分かりませんけど、何か不思議に、ミスマッチなまま妙にストレスなく共存しているんですよね。

・と、僕には見えましたが、一般視聴者にはどうだったのか。
・もしこの作品が"視聴率不振のために"12話で打ち切りになったのだとしたら、やはりそこらへんのミスマッチが、受容を難しくしたのかなと。
・特に"ショービス"方面から見ようとした人、あるいは『Empire』の姉妹編を期待した視聴者に。
・なんか違うぞと。見てると変なところをもぞもぞいじられて気持ちが悪いぞと。
・そりゃあね、水戸黄門を見ようとしてドキュメンタリータッチな演出を見せられたりしたら、そりゃ気持ちは悪いでしょうからね。(笑)
・印籠は出るけど、なんか違うぞと。(笑)
・とにかくまあ、若干混沌としつつも、それぞれの要素の力強さと、それらに"衝突"の機会を仮に偶然にでも提供する、アメドラという場の"生きている"力を、非常に感じさせる作品でした僕には。
・まだまだこれからも、驚かしてくれそうだなと。


"スター"というキャラクター

star

・彼女の特別な存在感無くして、この作品は成立しない、していなかったろうと思います。
・まあとにかく、"強烈"なキャラクターですよね。(笑)
・アメリカじゃなければ、つまり「自己主張が大正義」、基本全員が血で血を洗う自己主張をぶつけ合うことを前提として成り立っている社会でないと、まず描けないキャラだろうと思いますが。
・自己主張の強いキャラ自体は描けても、国柄によって多少の差はあれど、やはりそこには「エキセントリック」とか「破壊的」みたいなニュアンスがどうしてもつきまとうので。
・この作品でスターが醸し出しているような、「無茶苦茶なようで"王道"」「ど真ん中」を行っている感じはまず出せない。
・"ど真ん中"だからこそ、どんなにスターが強情でもエゴイスティックでも後先考えずでも、彼女の行動言動に"卑しさ"は感じられないんですよね。
・それが文化を味方につけている強さというか。無茶苦茶だけど"自然"体。
・我は通すけど、ずるはしていないというか。
・最終話でしたっけ、妹(シモーヌ)に改めて「お姉ちゃんはエゴイスティックだ!」と指摘された時の、憤然としつつでも飲み込む感じは面白かったですね。(笑)
・分かってる、認める、でも譲る気は無い。(笑)
・見事な描写、見事な演技だと思いました。
・まあ後は賢いですからね、彼女は。強情だけど、全く馬鹿ではないので。
・逆にその"馬鹿"でない彼女が損得度外視でバッと衝動的に行動する時の、そこで通す"我"は、何とも切ないというか可愛いというか。
・僕はファンです、彼女の(笑)。付き合ったらいいコですよ、多分。
・演じている女優さん(ジュード・デモレスト)も、逸材だと思います。しっかりし過ぎて、たまに妙に老けて見える時もありましたが。(笑)
・個人的好みとしては、妹の方かな。
・もう一人の"アレクサンドラ"がキャラが薄かったのが、難点と言えば難点でしたかね。声はいいと思いますけど、歌ってる姿もどうももっさりしてて、あんまり魅力は感じなかった。
・まとめていうとだから、スターの本心を隠さない"リアリティ"と、メインカルチャーにがっつり乗っかっている「王道」感とルックス含めた「華やかさ」、それがまあ、上で言ったこのドラマの"2つ"の顔を繋いでいた、横断的な存在となっていたと、あえて言えばそうです。
・基本的には単に、"スターが好きだから見てた"ということですけど。(笑)

シーズン2あるんですかねえ、無いような気がするなあ。


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Posted on 2017/10/11 Wed. 21:15 [edit]

category: 2015-2019年のドラマ(アメリカ)

thread: 海外ドラマ(欧米) - janre: テレビ・ラジオ

tb: 0   cm: 2

コメント

本国でシーズン2始まったばかりのようです

URL |  #-
2017/10/20 11:50 | edit

ああ、そうなんですか!良かった。
自慢じゃないですけど僕の気に入るものって、ヒットしない傾向がどうしてもあるので、ほとんど諦めていました。(笑)
ありがとうございます。

URL | アト #/HoiMy2E
2017/10/20 15:04 | edit

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