死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

今一つどっちを向いているのかよく分からない力作 ~『ザ・パシフィック』(2010)  

『エクソシスト』FOXでやるみたいですね。
僕の怒りが正当かどうか、良かったら確かめてみて下さい。(笑)





『ザ・パシフィック』(スターチャンネル) (Wiki)

内容

スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスら『バンド・オブ・ブラザース』の製作陣が再集結し、製作費200億円をかけて空前のスケールで描く戦争ドラマ。実際の兵士たちの著書などを基に、第二次世界大戦の太平洋戦線に送られたアメリカ海兵隊員たちが見た戦争の“真実”を描き、エミー賞で作品賞など8部門を受賞した渾身の超大作。(公式より)


ロバート・レッキーユージーン・スレッジジョン・バジロン

左からロバート・レッキーユージーン・スレッジジョン・バジロン、三人の実在の海兵隊員たちのエピソードを中心に作られたドラマ。全10話。


感想

欧州戦線を描いた『バンド・オブ・ブラザーズ』のスタッフによる、太平洋戦争版。(ワーナー公式)
・構成が独特ですが、分かり易くて良かったです。
・具体的にはこう。

第1章〜ガダルカナル 前編〜
第2章〜ガダルカナル 後編〜
第3章〜メルボルン〜
第4章〜グロスター岬/パヴヴ〜
第5章〜ペリリュー 前編〜
第6章〜ペリリュー 中編〜
第7章〜ペリリュー 後編〜
第8章〜硫黄島〜
第9章〜沖縄〜
最終章〜帰還〜

・ずーっと戦っているわけではなくて戦闘日常戦闘日常を繰り返すような感じなんですが、"地域"によってエピソードが区切られているので、登場人物が多い&複数主人公でも、混乱せずに見ることが出来ました。
・実際問題、僕ら日本人でも太平洋戦史を熟知している人なんてほとんどいないわけで、そういう意味でも「今どこで戦っているのか」を常に意識させてくれる構成はありがたかったと思います。
・いわゆる(業界の慣用句で言えば)「ミニシリーズ」「テレビムービー」で、全体の感触としてはとても「映画」的なんですが、それを「テレビ」「連続もの」として見せる為の配慮が十分になされているという感じ。
・ここらへんの慎重さを、最近の"映画感垂れ流し"のHBOドラマ群などにも求めたいところ。
・源泉かけ流しなら歓迎ですが。(無関係)
・NETFLIXとかもどういう感じになってるんですかねえ、"業界"の未来を憂うる立場としては気になります。(笑)
・日本の「漫画」とアメリカの「ドラマ」は、特殊な業界バランスにより半ば偶発的に成立した、しかし人類文化の宝だと思っているので、是非ともその良い所を残してもらいたいもの。
・それはともかく。

・"ガダルカナル"で始まる作品は当初、戦闘シーンのリアルな・ヒロイズムの容易に入り込む余地のない"無意味"な苛酷さの表現で、幕を開けます。
・ここらへんはまあ何というか、"作法"というかある時期以降の戦争ものが、必ず通らなければならない大道というか。
・このままこんな感じで行くのかなと思いましたが、それ自体は何というか、割りとすぐ、惰性とは言いませんがルーティンな感じになって行きます。
・そうしたというよりも、そうなっちゃったという感じですが。
・まあもうみんな見慣れてますしね、そういうのは。
・後は時たま日本軍の兵士一人一人と"個人"的なレベルで接近してしまった時に、緊迫感が走るくらい。

・その代わりに印象に残るのは、3章、5章以下で展開される、寄港先や本国での、兵士たちの「日常」の風景、特に男女関係ですね。
・レッキーと一時両親公認の仲になるギリシャ移民の娘や、戦地に旅立つバジロンと短い結婚生活になることを予感しながらあえて結婚する病院勤務の女性軍人や、その他もろもろ。
・共通しているのは結構女性がみんな強いな、意志的だなというのと、それとも関係しますが性的にオープンというか、婚前交渉への躊躇いとかか意外と無いんだなという。それを社会も追認しているようですし。
・特にそのギリシャ移民の人が、両親と一緒に住んでいる家に平気で男を呼んでベッドを共にし、あまつさえ住まわせたりするのを見てえっとなりました。
・一応"敬虔なギリシャ正教徒"というような話だった気がしますが。(笑)
・決してだらしなかったり受け身なタイプではないだけにね。へええ、そういうもんなんだと。(笑)
・前にも言った気がしますが"男女平等"が完全に制度化される以前の欧米女性の独特の「強さ」というのは、実は古い映画を見ているとしばしば感じることではあるんですが。
・制度の援護を受け切らないからこそ出て来る、一本根性の据わった「自立」感というか。
・まあ多少理想化というか、願望も入ってるんでしょうけどね、ただこれは"実話"ものですし。
・性的な積極性と、加えて一種の"常識"として社会がそれを認めている感じは、余り見たことのないものだったかも。
・まあ"戦時"という特殊性はあるのかも知れませんが。一人一人が、明日をも知れない。

・それ以外だとユージーンの、前の大戦の従軍経験を持つ医師のお父さんの息子を思う様子は、かなりしみましたね。
・"戦死すること"ではなく、"息子の純真さが失われていくだろうこと"を悲しむ、それゆえに当初は頑強に志願に反対していた。
・それがお父さんが考える、戦争の真の惨(むご)さ。反発していた息子も、やがてそれを理解する。

・と、色々ありますが、結局何を描きたかったのかなという疑問は、少し残るところのある作品でした。
・戦争のリアリズムの描写、クリア!そこで生きる人々の人間性の描写、クリア!"敵"である日本人の人間性も、最終的に認めること、クリア!
模範解答ではあるんですけど、それ以上の、「新味」とまでは言いませんが、"この作品で"言いたいことのようなものは、僕には特に感じられませんでした。
・むしろ手応えがあったのは、「それでも日本軍が憎い」的な断片的描写の方だったかも。
・後は似てるような逆のような話ですが、武勲を挙げて本国に戻って新兵訓練所の教官をやっていたバジロンが、「早く日本兵を殺しまくりたいぜうずうずするぜ」と調子こいていた訓練生に向かって、「奴らはとんでもなくタフな本物の兵士だ。お前ごときには殺せない」と憎悪とも敬意ともつかない、屈折した感情を爆発させる場面。
・あれは凄かった。新兵ドン引き。(笑)
・日本人としては、少し嬉しかったですけど。
・まあだから何というか、八方顔を立てたような作品ではあるわけですよね。悪く言えば。
・一つ一つのクオリティは高いけれど。

・多分"答え"としては、結局これは「『バンド・オブ・ブラザーズ』の太平洋戦争版」であり、また実話を基にした、あの戦争のなるべく"実相"に近いものを保存することを目的に作られた作品であって。
・一種の「記念碑」であると、"芸術作品"というより。
・そういうことかなと。
・つまりこれといった芸術的な固有の衝動は、背後に無い。作り方としても、『バンド・オブ・ブラザーズ』をなぞってる部分が大きいようですし。
・実際本当に誠実に作られていて、そういう意味での"迫力"はありますが。
・ただちょっとすぐ慣れて先が見えて、飽きてしまうところはありました。見なくても分かるというか。(笑)
・"ドラマ"としてはね。
・まあ見る価値はあると思いますけど。その内AXNあたりでやるかなと思いますが。


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Posted on 2017/12/14 Thu. 11:50 [edit]

category: 2010-2014年のドラマ(アメリカ)

thread: 海外ドラマ(欧米) - janre: テレビ・ラジオ

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