死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

『ウルフ・ホール』[英] (2015)  




『ウルフ・ホール』(AXNミステリー) (Wiki)

内容

波乱に満ちた生涯を送ったヘンリー8世の時代は、その衝撃性から映画やテレビシリーズで何度も映像化されているが、本作は、貧しい生まれながらも商人や法律家としてキャリアを積み、その英知と交渉力でヘンリー8世の側近として才覚を発揮したトマス・クロムウェルの視点から展開するストーリーが魅力。
出演者、制作陣とも類まれな才能が集結し、登場人物の複雑な感情と政治の駆け引きを融合させた知的で荘厳な超大作が誕生した!
(公式)


レビュー

・見たばっかり。
・最初の妻と離婚したいばっかりにカトリックと喧嘩して英国国教会を設立し、そうまでして再婚した次の妻(アン・ブーリン)にも結局飽きて処刑してまた新しい妻に乗り換えてしまった鬼畜王ヘンリー8世(笑)をめぐる、日本で言えば忠臣蔵や幕末もの並みに人気らしい歴史的題材の新たな視点によるドラマ化。
・主人公はそのヘンリー8世の片腕の辣腕政治家で、かの清教徒革命のオリバー・クロムウェルの大伯父にあたるらしい、トマス・クロムウェル
・その一見地味な主人公による、実際地味なドラマ。(笑)
・しかし面白い。
・AXNミステリー公式の「登場人物の複雑な感情と政治の駆け引きを融合させた知的で荘厳な超大作」という煽りは、実際その通りで付け足すべき言葉が特に見つからない。(笑)
・出来事そのものは(少なくともイギリスの視聴者には)"お馴染"のものなので、ある意味では「トマス・クロムウェル」という主人公のパーソナリティが全てというところはある作品かも。
・そういう意味ではイギリスに数多ある、名物刑事や探偵を主人公とした現代もののミステリーと、味わいとしては似たものがあると思います。
・「ヘンリー8世(アン・ブーリン処刑)」と「名刑事ミステリー」という、イギリスドラマの二大定番の融合した作品?
・"歴史"ものだけど、"個人"的な感情移入もし易いというか。
無感情ですけど。(笑)
・まあ、実際には無感情というわけではなくて、実は人並み外れてセンシティブで豊かな感情を持っているのかも知れないトマス・クロムウェルが。
・しかしそれを更に上回る類稀な知性と克己心とある種の美意識でもって、結果淡々と事に対処して行く様を。
・緻密に構成された音楽を鑑賞して行くような感じで見て行く作品?
・構造としては、観客だけがトマス・クロムウェルの「内面」が想像出来るような構造になっているので。
・いったんドラマに入って行くと、かなり密着感があってほんの些細な"揺れ"でも十分に心が揺さぶられる感じになる。
・失脚した元上司"ウルジー枢機卿"に対する追慕の念とか、意外と実は素直なものなんだろうなと、ウルウル来ます。
・ほぼ秘し続ける"恋愛"感情はさすがに分かり難いですけど、やっぱアン・ブーリンのこと好きだったんですかね?

・基本的には、起きる出来事そのものはいちいち派手派手しい大騒ぎなので。
・歴史的にもメジャーだし。
・それとのコントラストで、あるいはそれありきで、成立しているところはあるドラマかも知れません。
・確かに"知的"で地味なんだけど、全体としては"荘厳"でスケール大きくも感じられる、見事な作り。
・事件に比してのトマス・クロムウェルの"抑制"が、むしろ"荘厳"さ、クラス感を生み出しているというか。
・ここらへんをそのまんま"派手"に作ったのが、例えば2007年の『The TUDORS~背徳の王冠~』
・あれは参った。馬鹿な登場人物が馬鹿な騒ぎを起こすだけの話で。(笑)
・アン・ブーリンも全く魅力的に見えなかったし。
・今回のアン・ブーリンは、ヘンリー8世と結びつく過程そのものは余り描かれていないんですけど。
・成り上がってからの、その地位で示す彼女なりの知性や不屈の精神などは、確かに鼻持ちならない傲慢な女ではあってもそれはそれであっぱれでもあって、ヘンリー8世が惹かれるのも分かるかなという感じには見えています。
・余り"性的"魅力が出ているようには見えないんですけど、それは原作小説自体の解釈なんですかね。
『HOMELAND』のダミアン・ルイス演じるヘンリー8世も悪くない。
・まぎれも無い自分勝手なクソ野郎ではあるわけですが(笑)、それはそれなりに"王"という特殊な地位に相応しい威厳に見える瞬間もあるし、そのバイタリティそのものは"オス"の本懐でもあるのかなと、思わなくもない。
・あんまり思いたくはないけど。(笑)
・ダミアン・ルイスの演技は多分、標準的なヘンリー8世像からすると少し線の細い感はあるんだろうと思いますが。
・それはそれとして余裕を持ってコントロールしている感じで、やはりイギリス人俳優でそこはホームなんだなと、"アウェー"の時の『HOMELAND』との比較では感じられて、興味深かったです。
・全体としてはやはり、知的な作品というか"知性"を基調とした作品ではあって。
・王妃となったアンについているジェーン(アンの弟の妻)の、アンとトマス・クロムウェル双方に対する皮肉な物言いの魅力とか、あるいはアンの姉でヘンリーの元愛人メアリーの、トマス(の知性)へ向ける妙にひたむきな思慕とかには、何か作者の贔屓(笑)というか好みのようなものが、感じられます。

・それでも単に地味な、マニアックな作品に終わらせなかったのは大したものだという感じで、AXNミステリーが盛んに世界的大ヒット作品『ダウントン・アビー』と並べて宣伝していたのも、最初は鼻で笑ってましたが(笑)最後は納得しました。
・ここ数年特にアメリカドラマを意識して、「定番的」「地味」という定評を覆そうと格闘していた感じのイギリスドラマ界が、(アビーに続いて)何か一つ違う次元に踏み出したかなあと、そう感じさせる作品にはなっていると思います。
・単なる"アメリカ"化、"ポップ"化ではなくてね。
・"ゴージャス"化自体は、相変わらず競ってる感じはしますが。
田舎臭いイギリスドラマも無くさないでね。(笑)
『SHERLOCK (シャーロック)』的な"スタイリッシュ"路線は全く趣味じゃないなあ、僕は。アメリカに任せとけという感じ。
・まあ『アビー』とはまた支持層は違う感じはしますけどね。"メロドラマ"ではないので。
・どちらかというとやはり、最初に言ったように"渋めの刑事もの"のファンの方に薦めたいというか。
・僕は両方見ますけど。(笑)
・アビーも好き。
・まあ作り手の"知性"と"凄腕"という点が、共通点というか。

・で、結局"ウルフ・ホール"って何なんですかね。
・宮殿の建物の名前?正式名称?通称?
・そこはちょっと分からなかったです。
・「狼の巣」という感じで、権謀渦巻く宮廷の様子の謂いだという"裏"の意味は推測出来るんですけど、"表"が分からない。(笑)
・まあいいですけど。
・唯一不満としては、終わり方ですかね。
・アンの処刑で終わってるんですが、内容的にはやはり、トマス・クロムウェル自身の"最期"(または最後)で終わるべきかなあと。
・原作はどうなんでしょう。
・今回AXNミステリーはオリジナル全6話を4話に縮めて放送していますが、まさかラストを変えるとは思えないし。


他の人の感想

『英国歴史ドラマ ウルフ・ホールが面白い』(Can of Good Goodies さん)

さすがにまだ記事がなかなか見当たりません。
上の方は「北米でもかなり注目をあびていた」とおっしゃっていますが、カナダ在住の方のようなのでUSAの方の評判はどうなのかなと。"北米"と言っても、カナダとUSAは、結構違いますからね。
「歴史好きじゃないのに(人間ドラマとして)のめりこめる」「人物描写が類型的じゃないので面白い」というのは、おっしゃる通りだと思います。
"類型"外しはたいてい"カジュアル"化に繋がってるわけですけど、この作品の場合はむしろ"品格"が上がってるのが特徴かなと。

[追記]
上のコメント欄で、

「とにかく、クロムウェルの描き方が現代的すぎると思うので。まるで私たち現代人がタイムスリップしたような人物造形は誤解のもとのように感じますね。」

というコメントがありました。
なるほど、僕の「現代の名刑事ものとの親近性」という感想と、肯定否定は逆ですが重なるものがありそうですね。
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』と似た"タイムスリップ"感というのを、書こうとかとも思ってたんですけど言うほど"似て"はいないと思ったので、やめたんですよね実は(笑)。やはり、そういう部分はあるのか。


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Posted on 2016/01/13 Wed. 13:33 [edit]

category: 2015-2019年のドラマ(イギリス)

thread: 海外ドラマ(欧米) - janre: テレビ・ラジオ

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