死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

CCTV(中国中央電視台)ドラマについての予備的研究  

中国中央電視台

中華人民共和国の国営放送のテレビ局。「央視 (ヤンシィー)」の略称でも呼ばれる。英語名は「China Central Television(CCTV)」。日本語名は「中国中央テレビ」。(日本語Wiki)


その日本向けCSチャンネル「CCTV大富」でやっているテレビドラマが、"中国ドラマ"的にもまた世界的に見てもかなり独特で面白いと僕が興味を引かれる中国国営放送CCTVのテレビドラマ放送&制作の歴史について、ちょっと調べてみましたという、そういう企画です。
僕が今まで見たことがある作品の中から、CCTV大富公式と百度中国語WikiとGoogle翻訳を頼りに、若干の推測も交えながらこれまでCCTVで放送されたらしいテレビドラマの、以下が一覧。

凡例
 ・・・ドラマの制作自体をCCTV(ないしその子会社)で行っているもの。
 ・・・CCTV(つまり"中央")ではないものの、国営・公営のテレビ局が制作したらしいもの。(基本社名からの推測)
 ・・・民間企業制作によるもの。
 (   ) ・・・二巡目以降の放送がCCTVで行われたもの。(初出は別の局)


1980年代

西遊記[西遊記](1986)
紅楼夢[紅楼夢](1987)
ラストエンペラー[末代皇帝](1988)


1990年代

宋慶齢の生涯[宋庆龄和她的姊妹们](1991)
 楊家将[楊家将](1991)
三國志演義[三国演義](1994)
則天武后[武則天](1995)
東周列国 春秋篇[東周列国·春秋篇](1996)
司馬遷と漢武帝[司馬遷](1997)
永遠なる梁山泊 水滸伝[水滸傅](1998)
西太后の紫禁城[日落紫禁城](1998)
大清帝國 雍正王朝[雍正王朝](1999)


2000年代

続 西遊記[西游记续集](2000)
 (雄弁な紀暁嵐 名文家と汚職大臣の喜劇[鉄歯鋼牙紀暁嵐](2000))
笑傲江湖[笑傲江湖](2001)
康熙王朝[康熙帝国](2001)
 侠客行[侠客行](2002)
画魂 愛の旅路[画魂](2003)
始皇帝暗殺 荊軻[荊軻傳奇](2004)
チンギス・ハーン[成吉思汗}(2004)
五月に香る槐(えんじゅ)の花[五月槐花香](2004)
記憶の証明 The Proof of Memories[記憶的証明](2004)・・・現代劇
漢武大帝[漢武大帝](2005)
上海ラブストーリー[揺擺女郎](2005)・・・現代劇
運命のいたずら[錯愛一生](2005)・・・現代劇
大敦煌 西夏来襲[大敦煌](2006)
 大清風雲[大清風雲](2006)
   封神演義[封神榜之凤鸣岐山](2006)
   怪盗 楚留香[楚留香伝奇](2006)
   (北魏馮太后[北魏馮太后](2006))
復讐の春秋[臥薪嘗胆](2007)
始皇帝烈伝 ファーストエンペラー[秦始皇](2007)
少林寺伝奇 乱世の英雄[少林寺伝奇](2007)
王妃 王昭君[王昭君](2007)
 楊貴妃[大唐芙蓉園](2007)
剣武侠侶[侠侶探案](2007)
51号兵站 上海の共産党地下組織[51号兵站](2007)
   大旗英雄伝[大旗英雄傳](2007)
   (大明王朝 嘉靖帝と海瑞[大明王朝1566](2007))
大唐游侠伝[大唐游侠伝](2008)
 遥かなる北の大地へ[闖関東](2008)
 大いなる愛 相思樹の奇跡[相思树](2008)・・・現代劇
青春のステージ[青春舞台](2009)・・・現代劇
 移ろいゆく歩み 内戦におけるある兄弟たちの命運[人間正道是滄桑](2009)
   傾城之恋 上海ロマンス[傾城之恋](2009)
   我が弟 その名も順溜[我的兄弟叫順溜](2009)


2010年代

茶館 激動の清末と北京の変遷[茶館](2010)
 THE MYTH 神話[神話](2010)
 劉邦の大風歌 漢建国記[大風歌](2010)
 流星胡蝶剣[流星胡蝶剣](2010)
 萍踪侠影[新萍踪侠影](2011)
 風にはためく五星紅旗[五星红旗迎风飘扬](2011)
 紫檀王[紫檀王](2012)
 先に結婚後から恋愛[先结婚后恋爱](2012)・・・現代劇
 (独り身の男[大男当婚](2012))・・・現代劇
   絢爛たる一族 華と乱[木府風雲](2012)
天命の子 趙氏孤児[趙氏孤児案](2013)
二重スパイの男[滲透](2013)
 闖関東外伝[闖関東前伝](2013)
 (神の手を持つ医師!喜来楽[神医喜来乐传奇](2013))
   大秦帝国 縦横 強国への道[大秦帝国之纵横](2013)
メコン川大事件[湄公河大案](2014)
 (勇敢な心[勇敢的心](2014))
 (ビッグファミリー[好大一个家](2014))・・・現代劇
24の急カーブ 救援物資輸送の大動脈[二十四道拐](2015)
 大旦那の伝奇[传奇大掌柜](2015)
 (知識青年の家庭[知青家庭](2015))
   (ママ、頑張って[媽媽向前冲](2015))・・・現代劇
長征大合流[长征大会师](2016)
 百錬成鋼[淬火成鋼](2016)
 父の身分[父親的身分](2016)
 (少林問道[少林大薬局](2016))
   (戦士・東風の激戦[東風破](2016))
 清の能臣 于成龍(ウ・セイリュウ)[于成龙](2017)
   昭王 大秦帝国の夜明け[大秦帝国之崛起](2017)
   (開封府 北宋を包む青い天[開封府伝奇](2017))


太字未DVD化(少なくとも日本版は)作品。

・・・以下ポイントを。


"CCTVドラマ"と言えば、最近では中国国内はともかく国外では一部のマニアしか見ない(笑)、時代というか「中国ドラマブーム」に取り残された印象の特殊ジャンルになってしまっていますが、昔は随分メジャーというか中国ドラマファンが普通に見る多くの有名作品をやっていたんだなあというのが、とりあえずの一般的な感想だと思います。(僕もそれに気付いて意外に思って、このリサーチをやる気になったわけです)
最近でも『大秦帝国』シリーズ等の有名作品が、意外にも"CCTVの番組"として放送されていますね。(ただし大秦帝国は第一作はCCTVと無関係なので、ヒットないしは内容の良質さに目を付けて、続編については国営放送CCTVが援助ないし買い付けすることになったという、最近の日本の例で言えば"『進撃の巨人』のシーズン3がNHKでやる"みたいな例かも知れないですね)

さて僕のそもそもの関心としては、

1.今現在も良作が続々と制作されているCCTVドラマが、DVD化されずに国際市場と無縁になったのはいつ頃からなのか。
2.1とも関連するでしょうが、我々が普通目にするメジャーな"中国ドラマ"とは明らかに違う、独特のドメスティックなCCTVドラマの作風は、いつ頃から確立・発生したのか。
3.2で言っている"作風"は、そのドラマの制作体制・母体とどのように関連しているのか。


ということでした。

1.CCTVドラマがDVD化されずに国際市場と無縁になったのはいつ頃からなのか。

2000年の『雄弁な紀暁嵐』、2004年の『五月に香る槐の花』という早期の例はありますが、一気に増える、常態化するのは、2007年『51号兵站』以降か、より狭く取るなら2010年『茶館』以降ですかね。
概ね中国ドラマの国際的人気が高まるにつれて、ないし反比例(笑)的にとは言えるでしょうけど、そもそもの中国ドラマの国際化の歴史をよく把握していないので、厳密には何とも言えないところがあります。
・・・CCTVに限らないこの時期の中国ドラマ作品については、こちらにまとめてあるので参考にして下さい。

2.CCTVドラマの独特の作風は、いつ頃から確立・発生したのか。

見ていない人には説明しづらいんですが、
・画面(照明)の暗さや、美術等映像の見栄えの"素朴"感
・セリフの固さ
・職人的なシナリオと演出の伝統性
・"愛国""共産党礼賛"色の強さ(ものにもよりますが該当する時代の作品には多少なりとも)

あたりでしょうか。

個別に言うと、まず同時代の民放系の作品と比べて

・画面(照明)の暗さ

の印象が強いのは、2007年の『復讐の春秋』『剣武侠侶』あたりが最初。やはりここらへんに一つ区切りがあるか。
この2作品についてはそれだけを見ると、一応「演出」方針の範囲と見られなくはないですが、ただ同年『51号兵站』になると露骨に"貧乏"感が感じられて、要はそういうことなんだろうと"納得"してしまいます。(笑)
以降特に室内シーンはほぼそういう印象。その中で2009年『移ろいゆく歩み』、2016年『父の身分』あたりは、それを"作風"として活かしている傑作だとは思いますが。(『復讐の春秋』もそうですね)

・セリフの固さ

については2007年の"古代"劇『復讐の春秋』や2010年の"演劇"風ドラマ『茶館』のような個別の例もありますが、基本的には

・"愛国""共産党礼賛"色の強さ

から派生しているもの。
具体的には『51号兵站』『移ろいゆく歩み』『風にはためく五星紅旗』『24の急カーブ』『長征大合流』『百錬成鋼』『父の身分』といったあたり。単純に政治的な会話が多いですから。

・職人的なシナリオと演出の伝統性

に関しては、日本のNHKドラマあたりとも共通する意識している観客層の保守性に要は合わせてという面は、一つあるでしょうね当然。ただ"伝統"とは言いましたがむしろ2000年代中頃以前の"古い"作品には特にそういう特徴は余り見られない、当然古い作品ゆえの古さはあるんですがその時代なりの"先進"性を目指しているものがほとんどなので、実は特徴としては"新しい"ものである可能性もあるのかなとこうして見ると。
一方で国際市場を意識した新しいor見栄えのする演出の"中国ドラマ"が続々と生み出されるようになって、尚更コントラストは強いんですが、むしろそれに対する"差別化"として、保守化というか"居直り"が定着した面はあるのかなと。(笑)
一方ででは古臭いからつまらないか内容が薄いかというとそんなことは全然無いので、いい意味での「居直り」(笑)、職人的腕を持ったドラマ制作者たちの箱庭化・桃源郷化しているという、逆説的ないい面もあるように思います。まあここらへんについては、いずれ別に書きたいと思っていますが。

ジャンルとしては、兵士を含む民衆の生活を描いたものがやはり多いですね。それと現代劇全般。
前者の例としては2008年『闖関東』シリーズを始め、『茶館』『神の手を持つ医師!喜来楽』『大旦那の伝奇』『戦士・東風の激戦』あたり、後者の例としては2012年『先に結婚後から恋愛』『独り身の男』、2014年『ビッグファミリー』。
2007『51号兵站』に始まる共産党系ドラマ全般も、性格上「型にはまった」描写が多いという意味ではそう。

まとめて"時期"としてはやはり、「2007年」以降ということになりますか、いずれの特徴も。

3."CCTVドラマ的"作風は、そのドラマの制作体制・母体とどのように関連しているのか。

関連しているか、というか。
実際のところ、僕が"ドメスティック"と感じる特徴を見て取れる2007年以降のCCTV「放送」ドラマの、ほぼ全ては国営CCTV直接制作(「赤」)かそれに準ずると考えられるその他国営・公営局の制作ドラマ(「青」)のようなので、関連しているのは明らかなんですが。
その中で少し悩ましいのが2009年『我が弟 その名も順溜』、2016年『戦士・東風の激戦』の、共に日中戦争期の共産党軍の英雄的兵士を主人公とした兄弟的作品。母体的に公営性は当面見て取れないんですけど、しかし民放系の所謂隆盛している「中国ドラマ」とは全然違う没時代的な独自の演出で明らかに公営系の内容(DVD化もされてないし)なので、僕の掘り下げが甘いか特殊に志のあるクリエーターの作品なのかなと考えてはいますが。

それはそれとしてCCTV直轄じゃなくても共通した作風が見られるということは、これは"誰か"の意思というよりやはり広範な伝統として中国のテレビドラマ制作の現場に元々あったもので、むしろそちらが本流というか底流で、その上にないしそれとは別に国際的なタイプの「中国ドラマ」がここ10数年の間に爆発的に増加・成長したと、そういうことなんでしょうね。
で、ぶっちゃけて言うと、僕が"ドメスティック"な(DVD化されない)CCTVドラマを見るようになったのはここ1,2年に過ぎないので、恐らくは今後も続くだろう過去作品の再放送の視聴経験を重ねて行く中で、より"昔から変わらない"中国ドラマの部分が見えて来る、サンプルが蓄積して行くのだろうと、そう予想しています。

"金が無い"、照明・美術にお金をかけられないらしいという問題(笑)も、中国の経済状況を考えると"最近"の現象とは考え難いので、日本のNHK同様昔から局自体の予算は潤沢ではなくて、国際的に"売る"前提のドラマについては別に予算・投資がついて作られていた、しかし最近はそれも最初から民間で行われるようになってCCTV(or公営局)の出番は無くなったと、そういうことかなと推測出来ますが。

・・・だから"1"では一応「いつからDVD化されなくなったか」という問い方をしましたが、実情は恐らく「DVD化"されない"カテゴリーの作品まで見られるようになった」(その一方で"される"カテゴリーの作品は作られなくなった)ということなんだろうなと。"答え"としては、若干肩透かし気味ですが。(笑)


以上長々と乏しい資料から考えてみましたが。
僕としてはともかく、『移ろいゆく歩み』(2009)、『我が弟 その名も順溜』(2009)、『独り身の男』(2012)、『二重スパイの男』(2013)、『知識青年の家庭』(2015)、『父の身分』(2016)あたりのそれぞれ驚嘆するところの多々ある傑作群がDVD化されない(チャンネル自体のオンデマンド以外では)配信もされない、ほとんどの人が見る機会が無い状況に置かれているのが勿体なくて勿体なくて。この何でもかんでも見られる時代に、何やねんという感じですが。
ただ今の華麗絢爛な"中国ドラマ"界の商業ベースを気にせず作れるからこういう作品が生まれているという面もあるとは思うので、後はまあ、事後でもいいからCCTVにもっと商売っ気を出してもらえればなとそういう感じです。
むしろ日本のNHKあたりが買い付けてくれないかなあと、割りと現実的に期待したりしていますが。

今後も研究(笑)を続けて行きたいと思います。


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Posted on 2019/05/29 Wed. 19:03 [edit]

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