死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)

アメリカ、イギリス、中国と欧州各国のドラマ。

『イレブンス・アワー FBI科学捜査ファイル』(2008)  

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・・・レイチェル・ヤング捜査官への愛は既に語りましたが(笑)、こちらは純粋な作品評です。


『イレブンス・アワー FBI科学捜査ファイル』(AXN) (Wiki)

内容

科学を悪用した難事件が次々と発生!「イレブンス・アワー」=”土壇場”で謎は解けるのか?目が離せないスリリングな展開が待ち受ける!
生物物理学者のフッドはFBI女性捜査官レイチェルと組んで、科学が絡む事件に挑んでいく。 (公式&Wiki)


レビュー

企画(設定のユニークさやテーマの斬新さ) ☆☆★★★

"同名イギリスドラマをリメイクした"作品ということですが、そちらの方は知らないので、単純に見たままの感想です。
一言で言ってこの部分、企画の詰めのぬるさが、最大にして根本的な弱点になってしまっている作品だと思います。
「科学事件に特化した捜査もの」というのはなかなか面白いですし、用意されたネタも十分に魅力のあるものだったと思います。ただ全体として、ないしは究極的にどういう作品にするかということについて具体的に十分に考えてスタートした作品かという点は、非常に疑わしいです。"科学"的な"ネタ"を、一般的なコンビ捜査もののフォーマットにそのまま当てはめただけの、かなりぞんざいな作りの作品という印象。
これはある程度はAXNの番宣のミスリードのせいもあるかも知れませんが、てっきり僕は、一線を越えた現代科学の悪用・濫用を行っている金持ちネットワークなり超法規的結社なり、何か巨大な組織とのギリギリの戦いを主人公たちが繰り広げる"ポリティカル"に近いクライム・サスペンスのような、そういうハイテンションの作品を予想していました。
ところが蓋を開けてみれば個別にそういう要素は無いわけではないけれど、結局は"偶発的に""孤立して"パラパラと起きるそれぞれの事件をいちいち解決をして行くだけの、牧歌的とまでは言いませんがネタが珍しいだけの至ってトラディショナルなコンビ捜査もので、なんかわざわざバカ高い材料を使ってただの定食ものを作ってる店みたいな感じで、不味くはないけど何なの?みたいな拍子抜け感中ぶらりん感。

"トラディショナルなコンビ捜査もの"が悪いわけではないですし、毎度毎度巨大組織や陰謀と戦うのもいい加減子供じみてると言えばそうなんですが、とはいえ先端科学というネタが自ずと与える話のスケール感や実際に出て来る巨大組織や資本との関連性、それにフッドとレイチェルの主人公二人のクールなルックスが与える緊張感からすると、巨大な敵なり背景と"対峙"させる形にした方が、この場合はむしろ、自然だったのではないかなと。ドラマの力学として。
FBIに実際にこういう部署が周知のものとしてあるというなら、"日常"を描いてもいいんでしょうけど、無いんでしょ?少なくともあるというような描写は、無かったですよね。
何かこう、勿体ないというか工夫の無い作品だなあというのが、総体としての印象。
・・・そういえば"イレブンス・アワー"の意味も、見てるだけでは分からないですよね。あの時計何?

ストーリー(展開の面白さ、または内容の意味深さ) ☆☆★★★

一話完結の捜査ものとしては、一回一回、普通に楽しめました。その意味では、☆はもっとあげてもいいんですけど。
ただ通して見ると、迷走してる部分もあって、1stで打ち切りもうなずけるというか。(笑)
確か3話で出て来た、偏屈者フッドが教え子やら他の捜査官やらに意外にモテて、レイチェルが急に男として意識し始める的な描写、それ自体は微笑ましくて良かったんですが、その後二度とそういう描写は出て来なかったし、レイチェル自身の男関係も時々取ってつけたように導入されるけどいかにも入れただけという感じでしたし。恐らくは視聴率の低迷から、急遽投入された巨漢の黒人トレーニー"フェリックス"は面白いキャラでしたが、

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余りにも唐突な登場でしたしまた変に有能で、何か合流に至る特別なエピソードでも欲しいような感じでしたし、作品そのものが18話で終わってしまったことで当然(トリオとしての)消化不良感は残りましたし。
最後に出て来たFBI副長官との"陰謀"風味の確執は、本来はシーズンまたぎの大きな新展開にでも繋げるつもりだったんですかね。分かりませんが「一話完結の王道捜査もの」に慣れた身には、唐突に出て来た「政治」に、なんか体がついて行かなくて面倒だからやめてみたいな感じになってしまいました。(笑)
とにかく"エピソード"としては一つ一つ悪くなかったけど、"シリーズ""シーズン"としては、割りとグダグダしてたなという、そういう感想。まあ根本は上で言った、"企画"の緩さによるんでしょうけどね。

人物(キャラクターの魅力、あるいは心理描写の妙) ☆☆★★★

これもねえ、☆2つは悲しいですねえ。一人一人は好きなんですけどね。
まずフッドとレイチェルは、二人ともいい人。とてもいい人。
それはいいんですけど、そのことの「劇的」な意味というのが、分からないというか特に考えられている感じがしないというか。
レイチェルに関しては、"たまたま"いい人だということでまあいいとしましょう。「出世コース」からは微妙に外れたみたいな、(性格面の)補足もありましたし。・・・ただそれにしても、見た感じ「国家的財産」であるようなフッドの頭脳の守り手としては、じゃあ逆にどういう理由で選ばれたのか、何か他に凄いところでもあったのかと、それは納得が行かないと言えば行かない。そんな甘い性格で成り立つのかというか。
ただより根本的に疑問があるのがフッドのパーソナリティで、"天才"捜査官・探偵の定番として"変人"ではあるんだけど、大した変人ではないというか内向的であるにしてもそれは愛妻と死別して間も無いという"事情"であっさり理解できる程度の「偏差」で、後は至って常識的であるし、親切ないい人であるし。
いい人なのが悪いわけではないんだけど、「現代科学」をテーマにした話で、それが問いかけるだろう倫理的困難や人間観の揺らぎ的なそういう葛藤というか緊張感みたいなものが、当然担い手となるはずの"科学者"フッドのパーソナリティにほとんど反映していなくて、第一話からいきなり"陳腐"と言ってもいいくらいのオーソドックスな「ヒューマニズム」を行動原理とする人だということがあっさり分かってしまって、えええ?というか、それは無いよおというか。
結局はだから、そこらへんも含めて、「定食」感が出てしまってるということですね。高級料理になってない、"知的冒険"感が足りない。単純に科学「知識」が、ばらまかれてるだけで。
後はまあ、これは「企画」や「ストーリー」に属する話かもしれませんが、二人の"出会い"というか、"結成"に至るプロセスの話は、普通は必要なんじゃないかなという。その流れがあって、それぞれの性格が定まるというか。
好感は持てるけど、ちょっと浅いよねという、そういう二人。

演出(テンポの心地良さや雰囲気に引き込む力) ☆☆☆☆★

と、挙げてみるとマイナス点のオンパレードのようで、でも決して楽しくなかったわけではなかった、"まあ好き"評価に収まった(笑)というのは、スタッフの基本技量は決して低くなかった、枠組みの限界の範囲ではあるけれど、劇としての"ツボ"をちゃんと押さえて、破綻なく、それなりの見栄えがするように作ってくれていたと、そこらへんを評価しての、☆4つです。(ここでも押さないと、"Bランク"の辻褄が合わないというか。(笑))
またまた料理の比喩で言えば、味は美味しいんですよ、普通にね。ただ"店"としてのプロデュースに、失敗している。

惜しいですね。このネタと、このスタッフキャストで、しかし企画のところをもっとちゃんと練っていたら、十分に「傑作」が作れていたと思います。
"リメイク"作品としての不自由さやイギリス版の影響が、どこまで原因だったりするのかは、ちょっと分かりませんが。


他の人の感想

Eleventh Hour(イレブンス・アワー) Episode 8 (英会話を独習する人のためのブログ さん)

「一見冷たそうに見えるフッドが時々見せる人間味、あるいは正義感溢れる完璧主義のレイチェルが時々見せる人間味
どっちも結局人間味じゃんて(笑)、この人が悪いんじゃないんですよね、そういうぬるい作品なんです。(笑)

イレブンス・アワー FBI科学捜査ファイル/シーズン1 お試し視聴。 (海外ドラマ:つぶやき処 さん)

「最初から見ていないので、勝手な解釈ですけども、(中略)どういった経緯でコンビを組んでいるのか、メイン2人の人となりとか分からなくても全然見れました。」
実は"最初"から見てても"経緯"は分からないわけですけど(笑)、それは難点であると同時に確かに「それでも見られる」という、緩い良さ・特徴の表れでもあるわけですね、実際この方も楽しめたように。

イレブンス・アワー (今日の思いつき さん)

イギリス版の情報があります。
「リメイクでは全体にちょっと若返ったわけですね。こっちは90分全4話だったようです。」
パッと見だいぶ印象違いますね。リメイクに苦労しての、半端な作りだったのか。


つまらなくはないんですよ、本当に。本当です。(笑)
"下らなく"は、もっとない。少なくも出演者が好きなら、結構楽しく見られる作品なんじゃないですかね。


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Posted on 2016/08/26 Fri. 18:20 [edit]

category: 1900年代-2009年のドラマ(アメリカ)

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