死ぬまで海外ドラマ(死ぬ海)
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『ENDGAME 天才バラガンの推理ゲーム』(2011) [加] 
09/01


『ENDGAME 天才バラガンの推理ゲーム』(fox スポーツ&エンターテイメント) (Wiki)
内容
ロシア出身の主人公、アルカディ・バラガンは、その世界では誰もが知るチェスのチャンピオン。大会を控え滞在していたバンクーバーの高級ホテルの前で婚約者の乗る車が爆破され、心に大きな傷を負ってから数ヶ月。事件のショックからパニック障害に陥ったバラガンは、ホテルから一歩も外に出られなくなってしまう。
スイートルームで悠々自適な生活を送るように見える彼だが、滞在費はかさむばかり…。ある日、そんなバラガンに事件捜査への協力依頼が舞い込み、報酬のために受け入れた彼は、持ち前の頭脳で天才的推理力を発揮。
チェスゲームさながらに先手を読み、自分のファンやホテルスタッフをチェスの駒のように動かす。変わり者だらけの犯罪捜査チームと共に驚くべき頭脳戦を展開、あらゆる事件を解決へと導き、やがて婚約者殺害事件の謎にも迫っていく! (公式)
レビュー
企画(設定のユニークさやテーマの斬新さ) ☆☆☆★★
"ホテルのスイートルームを一歩も出ないで事件を解決する安楽椅子探偵"という設定は興味を引かれるけど、実際は「チェスゲームさながらに先手を読み、自分のファンやホテルスタッフをチェスの駒のように動かす」知的推理というよりも、"天才"の心象風景がモニョモニョと描写されて、何だか分からない内に閃き一発で答えが出て来る感じで(笑)、およそ緊張感は濃いとは言えない。
ただ"ホテルのスイートルーム"という設定自体は結構生きていて、高級ホテルの業務のシステムや従業員たちの人間関係を、自分が(金銭的になかなか出来ない)長期滞在者となって眺めている感じの方が、むしろ面白かったです。
ストーリー(展開の面白さ、または内容の意味深さ) ☆☆☆★★
"ホテル"や"チェス"に絡めた事件の仕込みは毎回結構面白いし、"解決"の納得感も十分なのだが、全体的にシリアスさが足りないので、あんまりワクワクはしない。(笑)
よく見ると"人間学"的に深い・・・ような内容も含まれてはいるようなのだけど、どうも一つ一つがストレートに突き刺さって来たりはしない。
ただその中で、第11話「命を賭けた勝負」(Mr. Black)は例外的。
11話がドラマ史に残る神回で驚いた。
— アト (@atosann) 2015年9月9日
人でなしの世捨て人バラガンは、男の中の男だった。
正直ここまでの作品だったとは。残り4話が楽しみというより怖いくらい。
ENDGAME ~天才バラガンの推理ゲーム http://t.co/vvcN9b5jPi
すげえ、感動してるな、当時(笑)。ちなみに人質を取られて脅されながら、チェスの勝負をする話ですね。
"例外"と言っても、これだけが面白いということではなくて、むしろこれだけが「本気」を出したエピソードということなんだろうと思います。それまでのらりくらりやっていた、同じものを。
逆に多分、常に本気だと重くなり過ぎる内容でも実はあって、そこらへんのさじ加減に苦労or工夫した挙句が、この分かり難いというか回りくどい面白さという。
これはこれで嫌いじゃないですが、いっそシリアスに徹した方が、爆発した可能性はあったのかなと。
人物(キャラクターの魅力、あるいは心理描写の妙) ☆☆☆☆★
上のツイートにもあるように、主人公バラガンはいいやつなんだかやなやつなんだか分かり難い人ですし、他の登場人物も概ねそう。"ストーリー"としてはそうした分かり難さはどちらかというとマイナスに働いた部分もありますが、「人物描写」としてはよりストレートに、深みやリアリティ、大人向けの成熟した描写の魅力として、おおむねプラスに働いていたと思います。
特に女性陣は魅力的ですね。バラガンの親友的な位置にあるホテルのバーを仕切ってる美女ダニーの、"水商売"の人らしい物分かりの良さやキップの良さ、一方で情が厚くて意外と根が真面目でいじらしい性格。それから毎回事件解決に意外な大活躍をするホテルメイドアルシナの、苦労人らしい人間通の、"何でも知ってる"感と、見かけによらないフットワークの軽さ。
いずれも実はある種「類型」的なキャラだとは思うんですが、生き生きとよく描けていて楽しかったです。
演出(テンポの心地良さや雰囲気に引き込む力) ☆☆☆☆★
上で言ったような内容の意外な重さと企画として目指す軽妙洒脱さ、複雑でもありかつ類型的でもある人物たちを上手く動かすこと、結構難しいバランスだったと思いますが、よくとまっていると思います。
・・・正確には、まとめ"過ぎ"ないようにバラケ過ぎないように、ぎりぎりのラインでまとめたというか。
全体的には、主人公がロシア人ということもあって、この前紹介した(オーストリアの)『お葬式から事件は始まる』にも通じる、ローカルというかエキゾチックというか、どこまでが狙いなのかどこまでが天然なのか、なかなか日本人には分かり難い不思議な情緒が漂っていて、それが魅力でした。
製作自体はカナダのメジャーな実績局(ショウケース)によるものなので、全部ひっくるめて計算ではあるんでしょうけどね。"不思議"なものとして、提供しているというか。
凄く盛り上がった・・・わけではないんだけど、「傑作」・・・の部類に入れてもいいのかなあ、どうなのかなあという感じの作品。(笑)
まあ大人向け、ではあると思います。青少年は、無理に面白いと思わなくてもいいよというか。
他の人の感想
・☆ドラマ「ENDGAME~天才バラガンの推理ゲーム~」 (月の出ない夜だから さん)
「・・・私は好きでしたよ、私は(^-^)」
「これは俗にいう、打ち切り、ということなんでしょうか?」
「つまらないドラマではないと思うんだけどなぁ・・・。」
なんか分かります(笑)。面白いけど人気出るのかなあと、心配になるタイプの作品ではあります(笑)。とりあえず本国では続いているようですね、日本でやるかどうかは知りませんが。
・ENDGAME 天才バラガンの推理ゲーム (たちばな・ようの映画日記 さん)
「バラガンは、チェスはうまくても、捜査に天才的なひらめきがあるわけではなく、ちょっとしたきっかけで犯人を割り出すだけなので」
ああ、なるほど。そういう言い方も出来るか。
確かに結構偶然頼みというか、他のキャラの発言をヒントにみたいなパターンも多いですね。それも含めて、一応"天才的"には見えましたが。(笑)
「先日見終えたドラマ「ベガス」の後半に登場したFBIのバーン捜査官のアップになった横顔を見て、「バラガンだ!」と気づきショック...。」
へええ、全然気が付かなかった。今度見てみよう。
・Endgame〜天才バラガンの推理ゲーム (独断映画評+(毒本音吐いちゃいな!) さん)
「主人公の天才チェスマスターの顔が好きじゃないし、常に裸足なのが気持ち悪くてしかたがない。」
そういえば裸足でしたね(笑)。多分その微妙な"不潔感"まで含めて、キャラ設定なのかなあとか。"金田一耕助のフケ"じゃありませんが。そう簡単に感情移入はさせんぞおという、ひねくれた演出意図。(笑)
「ラグジュアリーなホテルの内部を楽しむ という見方もありだな、と思う。」
ですね。
思ったより、見てる人いました。(笑)
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